臨床獣医師として、現場に立つと、誰しも一度は『絶対に人には言えない失敗』を経験したことがあるはずです。

よくあるのが、”妊娠牛にPGを打ってしまった”などでしょうか。

私自身、ちょっとした失敗を含めると思い出せないほどあります。

今回は、これまで自分が経験したミスで『絶対に人には言えない失敗談』を2つ紹介しようと思います。

本当に人には言えないレベルでのミスですので、私のような愚か者の失敗を反面教師にして診療に役立てていただければと思います。

分娩後低カル牛を腸捻転と誤判断してしまった話

まず一つ目は、分娩後の低Caで腸捻転と誤診してしてしまった失敗談を紹介します。

仕事も慣れてきた2年目の冬でした。

よく診療で行く、とても人がいい農家さんから『分娩した経産牛が倒れている』という稟告で夜間診療が入りました。

牛の臨床を少しでもやったことのある獣医師なら、低Caが最も疑わしいと考えるはずです。

向かう道中では低CaだろうからCa剤を打って帰るだけだなと思っていました。

牛舎に着くと、牛は左横臥で腹囲膨満で苦悶し、体温も37.1°しかありませんでした。

農家さん曰く、さっきまでは普通にしてたんだけど急に倒れてこんな感じなんだよね・・・。と

普通に考えるとまず第一に疑うべきは低Caでカルシウム剤の点滴をして帰るのがスタンダードです。

ところが何を考えていたのか、さっきまで元気だったのだから、もしかすると低Caだけではなく、腸閉塞も併発しているかも知れないと伝えました。

農家さんと相談した結果、それならこんな状態だし・・・ということで廃用処分として、そのまま薬殺してしまいました。

一応持ち帰った血液を測定してみると、Ca濃度は3.0mg/dL以下、Clは基準値範囲内で血液を見ると重度の低Caでした。

あんな状態だったけど、低CaだけだったらCa剤を打って帰っていれば、あの牛は助かったかも知れないと・・・

とても苦い経験となりました。

子宮捻転の確認で指で直腸壁を破ってしまった経験

二つ目の失敗談は、子宮捻転の確認で指で直腸壁を破ってしまった失敗談です。

3年目の頃だったと思います。

これも夜間当番中に子宮捻転っぽいとのことで往診が入りました。

そこの農家さんは過去にも3回ほど子宮捻転で呼ばれて、無事に治したことのあるところでした。

内診すると結構ねじれており、手がギリギリ入るくらいだったので、もしかしたら転がさないと治らないかもと伝えると、

『夜中だからできれば転がしたくないし、先生上手いから大丈夫でしょ!』なんて言われて、頑張って整復していました。

なかなか治らず、焦っていたのでしょう。

直腸から手を入れて捻転の確認している最中、指で直腸壁を引っ掛けた嫌な感覚がありました。

子宮捻転はなんとか胎子回転法で治して、無事に娩出することが出来ました。

すごく感謝されて帰ったのですが、案の定、翌日から親の調子が悪くなり・・・、結局廃用となってしまいました。

農家さんに謝罪すると、『あの時ベストなことをやってくれたんだから気にしないで!』と言われて少し救われましたが、これもとても苦い経験になりました。

失敗を次に活かすために意識すべきこと

1つ目の失敗での教訓は、絶対に決めつけないこと。そして迷った時には後から修正できる方を選ぶということ。

農家さんによっては歯切れのいいことを言ってもらったほうが良いという人もいると思いますが、もし迷った際には決めつけず、他疾患もカバーできる処置をすることを改めて肝に銘じました。

2つ目の失敗での教訓は、子宮捻転の確認をする際には直腸壁を撫でるように捻れを確認すること。

子宮捻転の整復で腕がバカになっていて力加減がわからず、直腸壁を穿孔してしまいました。

後悔先に立たず。

だからこそ、自分はこれらの失敗から学んで、次に活かせたらと思っています。

みなさんは何か人に言えない失敗談ありますか?

もし自分の失敗が少しでも役に立てば幸いです。

 

ABOUT ME
とんち
当ブログを運営・管理している”とんち”です。 現在、北海道で産業動物臨床獣医師として働きながら、ブログを書いています。 詳しくは、『【プロフィール】なぜ産業動物獣医師である私がブログを書いているのか?』をご覧ください。