大学の講義で、牛の臨床についての講義はあるけど、もっと体系的に勉強したい。
産業動物獣医師として就職してから、牛の臨床のことを勉強したいけど、どの専門書を買えば良いかわからない。
そういった方も多いのではないでしょうか。
私も就職した時はどの専門書で勉強すれば良いかわかりませんでした。
そこで今回は、
- 牛の臨床に関わる新人獣医師や獣医学生におすすめの専門書
について紹介したいと思います。
もし気になる本があれば、一度ぜひ読んでみることをおすすめします。
現在、私は産業動物獣医師として働いております。
詳しくは、『【プロフィール】なぜ産業動物獣医師である私がブログを書いているのか?』をお読みください。
牛の内科学でおすすめな本
主要症状を基礎にした牛の臨床 3
正直、『主要症状を基礎にした牛の臨床 3』があれば大概の診断・治療はできるという最もおすすめな一冊です。
2020年5月に改訂版が発売され、カラーの写真が豊富に掲載されており、主要症状ごとに疾患が書かれているので、鑑別診断の際にはとても役立ちます。
何か一冊と言われれば、『主要症状を基礎にした牛の臨床 3』を強くおすすめします。
新しい子牛の医学ー胎児期から出生・育成期まで
先ほど紹介した『主要症状を基礎にした牛の臨床 3』にも子牛の疾患について掲載されていますが、それだけではやや内容が希薄です。
子牛の疾患といえば、呼吸器疾患と下痢などの消化器疾患で子牛の疾病の約8割を占めています。
これらの疾患に関してはより詳しく、その他の子牛に特有な疾病についても掲載されているので、子牛の疾病についてもう少し詳しく勉強したいという方には新しい子牛の科学: 胎生期から初産分娩までがおすすめです。
病態からみた牛の輸液
輸液に関しては大変難しく、生理学的病態まで十分理解していなければ、適切な輸液・治療を行うことはできません。
そんな牛の輸液について体系的に書かれてあるのが、『病態からみた牛の輸液』です。
この本は生理学的病態まで詳しく説明されており、血液検査の考察に関しても詳細に記載されています。
内容に関しても難しいので何度も読み込まなければ、しっかりと理解できないと思いますので、自分で購入して理解を深めることをおすすめします。
よくわかる・得意になる! 牛の血液検査学
正直、牛特有の血液検査の意義は大学では教わらないですよね。
でも患畜の血液の結果を正確に読み取れるということは、適切な治療や予後判断の根拠として非常に大切です。
そんな牛の血液検査について、『よくわかる・得意になる! 牛の血液検査学』ではしっかりと一冊にまとめられています。
牛の輸液とともに非常におすすめな一冊です。
テレビ・ドクター 4 よく分かる乳牛の病気100選 (DAIRYMAN臨時増刊号)
テレビ・ドクター 4 よく分かる乳牛の病気100選 はデイリーマン社から発売されている酪農家に向けた乳牛の病気について書かれている本になります。
酪農家に向けて書かれているとは言え、その内容は症状から治療・予防まで記載されており、かなり詳しいものになっています。
乳牛の病気について、あまり知らないという方にとって、とてもとっつき易い本になっています。
まだ獣医学を学んで間もない2年生、3年生に取ってはとても良い本だと思います。
私自身、今もこの本を読んで知らないことをたくさん発見しています。
COW SIGNALS―乳牛の健康管理のための実践ガイド
COW SIGNALS―乳牛の健康管理のための実践ガイドは内科の参考書ではないですが、どのように牛を観察すれば良いか絵と写真を多く用いて説明されており、非常におすすめの参考書です。
詳しくは、『【新規就農者/酪農家/臨床獣医師におすすめの本】牛の行動を観察してカウシグナルズ(Cow Signals)を読み取ろう!』に書いているので是非お読みください。
牛の外科学でおすすめな本
正直、外科学に関しては、先輩から直接実践的に教わることが多いため、ほとんど参考書などは読んだことはありません。
その中でも牛のことを体系的に書かれている本といえば、次に紹介する『牛の外科マニュアル 第2版―手術手技と跛行』になります。
牛の外科マニュアル 第2版―手術手技と跛行
牛の外科マニュアル 第2版―手術手技と跛行は、牛の外科手技と跛行に関して説明されています。
基本的な消毒などの外科手技から経験の浅い臨床獣医師が知りたい麻酔や縫合などについても記載されています。
牛の臨床の場合、その診療所にあるものを使って処置するしかないため、やはり手術などの外科処置は先輩に実践的に教えてもらいながら習得するのが良いと思います。
しかし、外科について体系的に知りたいという方におすすめな一冊です。
牛の解剖学でおすすめな本
牛の解剖アトラス
現行の書籍で最も牛の解剖について詳しくわかりやすく書かれている本だと思います。
牛の解剖をより勉強をしてみたいという方には最もおすすめな参考書になります。
牛の画像診断 臨床獣医 2022年 増刊
レントゲン、超音波、内視鏡、CTそれぞれの検査について、最新の活用法が書かれてあります。
普段の診療ではなかなか利用できないものもありますが、とても勉強になります。
牛の繁殖についておすすめな本
臨床獣医師のための牛の繁殖と超音波アトラス―発情周期のステージ別の観察と繁殖検診
こちらの本は牛の性周期に沿って、実際の子宮の実物写真とエコー像がわかりやすくカラーで説明されています。
またそもそもの超音波の原理やプローブの当て方などについても記載されているので、繁殖がよくわからないという状態で読んでも理解しやすくなっています。
私はこの一冊を読み、あとはひたすら直検練習を行なっています。
牛の蹄病についておすすめな本
牛の跛行マニュアル―治療とコントロール
こちらの本は蹄病についてだけでなく、蹄の解剖・生理から管理、削蹄の基本的なことから説明されており、蹄について理解するには最もまとまった本だと思います。
一方、挿絵はカラーではなく白黒なので、次に紹介する『Hoof Signals―健康な蹄をつくる成功要因 (COW SIGNALS)』の絵を見ながら勉強するとより一層理解しやすいと思います。
Hoof Signals―健康な蹄をつくる成功要因 (COW SIGNALS)
こちらはデイリーマン社から出版されいるCOW SIGNALSシリーズの蹄に関する本になります。
COW SIGNALSシリーズは挿絵が豊富でフルカラーなので蹄病を視覚的に理解するにはとても良い本だと思います。
先ほど紹介した『牛の跛行マニュアル―治療とコントロール』と併用して利用することでより鮮明に理解できると思います。
牛の難産についておすすめな本
ちょっと待って!!その分娩、本当に子牛の牽引が必要!?―牛のお産正常・異常とその対処
こちらの本は農家向けに書かれた本ですが、牛の正常な分娩についてとてもわかりやすく書かれています。
私も牛の臨床獣医師として働くまでは、牛のお産の何が正常で何が異常なのか正直全く知りませんでした。
この本を読むことで、一通り何が異常で何が正常なのかを理解することができるので、本当におすすめできる一冊になります。
牛の臨床獣医師におすすめの参考書のまとめ
しっかりとした科学的な根拠を元に診療し、常に知識をアップデートしていく必要があると感じています。
新しい治療なども報告されているので、学会や論文での治療法も取り入れて診療にあたりたいです。
今回は、牛の病態を理解するのに良いと思えた専門書についてご紹介しました。
もし臨床実習に参加したいと思っている学生の人がいれば、『【獣医学生必見】動物病院やNOSAIでの実習中に気をつけること【ポリクリ/臨床実習】』を是非お読みください。
『【現役獣医師が語る】臨床獣医師・獣医学生におすすめの聴診器【動物のお医者さん】』では、おすすめの聴診器を紹介しています!
『【年収が高い?低い?】北海道の産業動物獣医師の給与推移について【給料明細】』では、産業動物獣医師の給料について公開しています。