獣医学科を目指している受験生の方の中には、入学する大学により、卒業後の進路に違いがあるのかどうか気になるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私は獣医学科を卒業し、現在産業動物臨床獣医師として働いており、在学中、卒業後、数多くの獣医師と交流し、各大学の卒後進路の特色について知ることができました。
そこで今回は、
- 卒業大学は就職・進学などに関係ある?
- 各獣医大学の進路の特徴は?
ということについて、お話ししたいと思います。
私の詳しいプロフィールについては、『【プロフィール】就職で北海道に!とんでもない田舎だった…』をお読みください。
これからどの大学を受験すれば良いのか迷っている受験生の参考になれば幸いです。
卒業する獣医大学によって卒後の進路は変わるのか?
獣医系大学といえば、北は北海道から南は鹿児島まで、国公立11校、私立6校、全国17獣医大学があります。
現在、大学を卒業され活躍されている獣医師は、加計学園が運営する岡山理科大学を除いた16大学を卒業された方々になります。
正直、私が受験する際に、卒後の進路まで考えて大学を受験したわけではありませんでしたが、受験前に知っておいても良いと思えるざっくりとした大学ごとのイメージは次の通りです。
北海道大学や東京大学は国家公務員や大学院に進む人が多い!
北海道大学や東京大学の獣医学科を卒業した後、国家公務員や研究を続けるために大学院に進学する人の割合が他大学よりも多いです。
逆に、臨床に進むという割合は他大学と比べて、割合は少ないと思います。
・北海道大学や東京大学は国家公務員や大学院に進む人が多い!
酪農学園大学や帯広畜産大学は産業動物臨床に進む人が多い!
酪農や畜産といった言葉が大学名に入っているだけあり、酪農学園大学や帯広畜産大学の獣医学科を卒業した方は、産業動物臨床に進む人が非常に多いです。
中でも北海道で産業動物獣医師として働く人が非常に多く、道内の産業動物獣医師の過半数を占めていると思います。
これは大学で産業動物に力を入れており、卒業する先輩も産業動物臨床に進むという人が多かったり、大学で教鞭を執る教授も大動物臨床獣医師をやってきた人が多かったりと、必然的に産業動物臨床の道に進むという人が多くなっていると考えられます。
・酪農学園大学や帯広畜産大学は産業動物臨床に進む人が多い!
日本獣医生命科学大学や麻布大学などの私立大学は小動物臨床に進む人が多い!
日本獣医生命科学大学や麻布大学などの獣医学科を卒業した人は、小動物臨床に進む割合が多いです。
これも大学として、小動物に力を入れており、卒業した先輩も小動物臨床の世界で活躍されている人が多いため、必然的に小動物臨床の道に進むという人が多くなっていると考えられます。
・私立大学は小動物臨床に進む人が多い!
地方国公立は地方公務員や産業動物臨床に進む人が多い!
地方国公立の獣医学科を卒業された方は、地方公務員や地域の産業動物臨床に進む割合が多いです。
各大学ごとに地域のNOSAIや家保と連携を取っていることが多く、卒業した先輩も就職先として地域のNOSAIや公務員に進む割合が多いです。
先ほど酪農学園大学や帯広畜産大学が北海道の産業動物臨床に進む卒業生が多いと書きましたが、これも北海道内のNOSAIや家保と連携を取っており、各大学で地域社会との連携により太いパイプがあると考えられます。
・地方国公立は地方公務員や産業動物臨床に進む人が多い!
加計学園こと岡山理科大学獣医学科の卒業生の進路はどうなるのか?
岡山理科大学獣医学科の卒業生はまだ世間に輩出されていませんが、岡山理科大学卒業の獣医師が誕生した際、どのような進路に進む人が多いのでしょうか?
まず岡山理科大学獣医学部が新設された背景として、四国地方に獣医学部が一つも存在せず、四国地方を中心とした地方公務員獣医師の不足が挙げられました。
岡山理科大学獣医学部は四国入学枠の特待枠なども設けましたが、ついに2020年度の合格者は0となりました。
そもそも全国の獣医学科入学者は年間1,000人程度と限られており、新設された岡山理科大学獣医学科は比較的入学しやすいため、四国に就職する気がなくとも獣医師を目指している受験生の一選択肢となります。
このため、岡山理科大学に入学している受験生の多くは他の大学と同様に、全国津々浦々から入学している人が多いと考えられます。
このことから他の大学と同様に、卒後はまた多くの卒業生が全国に散りじりになり、待遇のよくない四国地方の公務員になる獣医師は多くないと考えられます。
あとは、岡山理科大学獣医学科がどのような特色のある大学になっていくかは今後の教育と動向次第と考えられます。
獣医師は学歴によって卒後の進路が決まるわけではない
これまで説明してきた通り、卒後の進路に関して大学ごとの特色はありますが、偏差値の高い大学をでていないと、都心の大学を出ていないと、などということは決してありません。
特定の大学を絶対に出ないと研究職に就けない、大学院に進学できない、臨床分野では活躍できないなどといったことは獣医師の場合はほとんどありません。
基本的に獣医師免許を取ったあとは横一列です。
受験時の一時的な学力が評価され続けるということはありません。
一方で、獣医学の中でどのような分野に興味があるか、進みたいかということが受験する際にすでに決まっている人は、興味のある分野に多くの卒業生を輩出している大学に進むことをお勧めします。
これから獣医学科を受験する皆さんの参考になれば幸いです。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
他にも獣医に関することについて、いろいろ記事を書いていますので、是非お読みください。