最近、新人の獣医師や受精師に直腸検査について聞かれることが多くなってきました。
触診という感覚に頼る技術なので、習得するのが難しいみたいです。
私も直検が苦手で上達も非常に遅かったのを覚えています。
今回は自分のやり方についてざっくりと書いてみようと思います。
現在、私は産業動物獣医師として働いております。
詳しくは、『【プロフィール】なぜ産業動物獣医師である私がブログを書いているのか?』をお読みください。
実際現場での私の繁殖健診・妊娠鑑定の手順
繁殖健診や妊娠鑑定における直腸検査や超音波検査については、いろいろな本や雑誌にも度々あげられています。
今回は自分のやり方について書いてみるので、参考程度にしてください。
まず自分は繁殖健診でも妊娠鑑定でも、必ず直腸検査で触診を行うようにしています。
ポータブルの超音波が普及してから15年ほど経過して、繁殖健診もエコーのみで実施する先生もいらっしゃいます。
またベテランの先生の中には未だに触診のみで実施されている先生もいらっしゃいます。
ただやって行く中で、どちらにもいいところがあって、両方使用することでより正確な診断ができると感じているので、自分は両方使用しています。
直腸検査は、発情時の子宮の収縮感、卵胞の波動感、黄体の触感を判断するのに優れており、一方エコー検査は妊娠胎児の状態、子宮の状態内容物、卵巣の構造物について判断するのに優れているように感じています。
自分の場合は、手を入れたらあまり子宮頸管から触ることは多くなく、子宮体部もしくは子宮角の根元から最初に触診することが多いです。
子宮自体がそもそもどこにあるか分からない時以外は、だいたい直腸内に手を入れて直腸壁を緩めてあげれば、大体子宮体部もしくは子宮角の根元に最初に触れることが多いからです。
そもそも子宮がどこにあるか分からない場合は、直腸内を十分に弛緩させて、大体左から右に頚管を探って探すことが多いです。(自分は左手を使用している)
直腸壁を弛緩させるために、糞を手で出すというのは一番よく行う方法で、その次は自分の場合は、前後に細かく揺すりながら弛緩させることが多いと思います。
子宮に触れたら、子宮角角間膜に人差し指と中指を入れて、最初に子宮の収縮感を見るために軽く握っています。
また妊娠鑑定の時には、子宮角の根元を軽く摘んでスリップがあるかどうかも確認しています。
そして右子宮角、右卵巣、左子宮角、左卵巣の順番に触診しています。
触診するときも自分は前後にシゴきながら手の中に持ってきて触診することが多いです。
子宮の反転が必要な時には、子宮角角間膜の間に手を入れて反転させることが多いです。
ここまでは大体繁殖検診でも妊娠鑑定でも同じように行うことが多いです。
そして必要に応じて、ここからエコーを当てています。
①触診して子宮に異常を感じず、卵巣に構造物なし→基本エコー当てない
②直腸検査にて妊娠+→触診して胎児がいる側の子宮角にエコーを当て心拍
③子宮に異常感じる、卵巣に構造物あり→必要箇所にエコー当てる
という感じでやっています。
大体このような感じで、状況によって直腸検査のみだったり、全部エコーを入れることもあります。
大まかにいうと基本的に直腸検査で把握して、さらにエコーで詳しく見るというような感じで行っています。
今回はざっくりとですが、普段自分が現場でやっている直腸検査について書いてみました。
『【繁殖検診/妊娠鑑定】コツを掴むまで難しい!新人獣医師が牛の直腸検査ができるようになるまで』でも直腸検査について、書いています。
私が実際に産業動物獣医師として働く上で参考になった専門書を、『新人獣医師・獣医学生必見】産業動物臨床獣医師におすすめの専門書/参考書【乳牛の勉強】』で紹介しています。
『【現役獣医師が語る】臨床獣医師・獣医学生におすすめの聴診器【動物のお医者さん】』という記事では、おすすめの聴診器について紹介しているのでお読みください。