産業動物獣医師を目指す人に向けて

もし牛舎に行くなら要注意、牛から人にうつる病気!

最近、牛さんに触る機会があったけど、皮膚がかゆかったり、なんだか下痢が続く、といったことはありませんか?

もしかすると、牛から人にうつる人獣共通感染症かもしれません。

私たち、牛の獣医師もよく罹ることがある、牛から人にうつる2つの病気について、お話ししたいと思います。

私は現在、北海道で、産業動物獣医師として働いております。

詳しくは、『【プロフィール】なぜ産業動物獣医師である私がブログを書いているのか?』をお読みください。

【プロフィール】なぜ産業動物獣医師である私がブログを書いているのか?こんにちは! 現在、私は北海道で産業動物獣医師として働いています。 獣医師として働くかたわら、『獣医ってこんな感じだよ!』ということ...

牛から人にうつる皮膚病、牛皮膚真菌症(がんべ、牛白癬病)

まず一つ目の病気は、牛から人にうつる皮膚病で、よく”がんべ”と言われる牛皮膚真菌症です。

地域によって、いろんな呼ばれ方があります。

名前の通り、トリコフィトン・ベルコーサムという真菌が原因で起こる、真菌性の皮膚病です。

牛では群飼いの育成牛の頭頸部に感染していることが多いです。

もし人の皮膚に感染すると、円形状の赤みとかゆみが出てきてます。

人だと腕や顔に発症する人が多いです。

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皮膚病の牛や牛舎の鉄柵からうつるので要注意!

この病気は、真菌に感染している牛に触ることでうつります。

また真菌は牛舎の鉄柵などにも真菌がいるので、皮膚が露出した状態で肘などをついたりしないようにしましょう。

また素手で牛に触った後には、必ず手を洗うようにしましょう。

もし感染したら、治るまでに結構時間がかかってしまう

もし最近、牛に触って、円形状の赤みと痒みが出てきたら、まず牛皮膚真菌症を疑ってみてください。

そして皮膚科を受診する際には、「最近牛に触れたので、真菌症かもしれない」と伝えた方が誤診が少なくなり良いと思います。

もし誤診されて、ステロイド剤や抗生剤を処方されると、治らないどころか悪化することもあります。

ちゃんと治療しても、治るまでに数ヶ月から半年くらいかかることも多いです。

治るまでも、患部に触ってしまうと、他の場所や、他の人にうつしてしまう可能性があるので、必ず触れないようにしましょう。

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牛から人にうつる下痢病、クリプトスポリジウム症

2つ目の病気は、クリプトスポリジウムが原因で起こる下痢病です。

クリプトスポリジウムは原虫という寄生虫の一種で、人に感染すると腹痛、倦怠感、食欲不振、吐き気などと共に、激しい水溶性の下痢が起きます。

また感染してから発症するまで、およそ1週間程度の時間差があります。

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生後1週間以上の水下痢している子牛には要注意!

クリプトスポリジウムの卵が口に入ることで、人に感染します。

この卵は、生後1週間以上の子牛の下痢便中に多く含まれるので要注意です。

牛舎内で飲食はせず、手洗いもしっかりしましょう。

また獣医学生の人で実習に参加する際には、注射針のキャップを口で咥えたりしないようにしましょう。

手が塞がってて便利なので、口でキャップを外す先生もいますが、衛生的ではないのでやめておいた方が良いです。

クリプトスポリジウムに対する治療薬はない!

激しい下痢ですが、クリプトスポリジウムに有効な薬はありません。

発症してから治るまで2〜3週間かかりますが、脱水しないようにポカリなどを飲みながら耐えるしかないのがつらいところです。

あまりに脱水がひどいと、点滴が必要なこともあるようです。

私もクリプトにかかったことがありますが、頭痛と倦怠感から始まり、その後は3週間ほど激しい水下痢と胃の不快感があり、とても辛かったのを覚えています。

ただクリプトスポリジウムは一度かかると、2回目以降は感染しても発症することは少なく、発症しても2、3日で治るようです。

絶対にかかりたくない人はマスクをしておくと良いかもしれません。

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牛の病気を知ることが自分の身を守ることにもなる

今回紹介した2つの病気は、牛に関わる人であれば、ほとんどの人が知っている病気です。

もしこれから牛に関係のある仕事に興味があるという人は、牛の病気について勉強してみると良いかもしれません。

何か1つおすすめでと言えば、『テレビ・ドクター 4 よく分かる乳牛の病気100選 (DAIRYMAN臨時増刊号) 』という本がおすすめです。

 

この他にもおすすめの本について、『【新人獣医師・獣医学生必見】産業動物臨床獣医師におすすめの専門書/参考書【乳牛の勉強】』で紹介しています。

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とんち
当ブログを運営・管理している”とんち”です。 現在、北海道で産業動物臨床獣医師として働きながら、ブログを書いています。 詳しくは、『【プロフィール】なぜ産業動物獣医師である私がブログを書いているのか?』をご覧ください。
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