産業動物獣医師を目指す人に向けて

【NOSAI/動物病院】診断のために産業動物獣医師が飼い主(農家)に必ず聞くこと【臨床実習】

NOSAI実習や動物病院実習に参加する際、鑑別診断するために飼い主(農家)にどのようなことを聞けば良いかわかりますか?

特に初診時には飼い主から情報を聞き出し、鑑別診断をしなければなりません。

私も学生時代に臨床実習に参加しましたが、当時は何を聞いたらいいか全くわかっていませんでした。

最初のうちは診断をつけることは非常に難しいかもしれませんが、どんな症例でもよく聞くことがあります。

そこで今回は、

  • 産業動物獣医師が乳牛の診療の際に必ず聞いている3つのこと

について紹介したいと思います。

臨床実習などに参加される獣医学生の方がいらっしゃいましたら、参考になると思うので是非最後まで読んでくださいね。

私は現在、産業動物獣医師として働いております。

詳しくは、『【プロフィール】就職で北海道に!とんでもない田舎だった…』をお読みください。

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獣医師が必ず聞くことその①:牛の分娩月日は必ず聞く

乳牛の場合、周産期に起こる疾病は全疾病の中で8割も占めます。

つまり乳牛は分娩の前後で起こる病気がほとんどであり、分娩月日というのは最も大切です。

そして分娩前後によって起こりやすい病気(=周産期疾病)というのがあります。

例えば、分娩前でよく起こる疾患としては、子宮捻転、分娩前低Caなどがあります。

分娩後であれば、乳熱、子宮脱、子宮炎、乳房炎、ケトーシス、第四胃変異などがあります。

もちろんこれはあくまで起こりやすいというものなので、場合によっては周産期以外にも起こることはあります。

また診療の際に用いる薬として、デキサメサゾンやキシラジンなどは分娩誘起(流産)する可能性があるので、妊娠しているか否かを確かめるためにも分娩月日を聞くということはとても大切になってきます。

その他、乾乳期であるのか泌乳期あるのかによって抗生剤の使用や選択も変わってきます。

乾乳初期であれば乳の出荷制限も気にしなくて良いので、乳の休薬期間の長い薬も使用しても大丈夫ですし、泌乳期でよく乳が出ている牛ならできる限り抗生剤は使わないで欲しいという農家もいるでしょう。

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獣医師が必ず聞くことその②:牛が何産目か必ず聞く

分娩月日を確認したら、その牛が何産しているかは必ず聞きます。

例えば、分娩前後に良く起きる疾患の代表として、先ほども挙げた乳熱という疾患があります。

乳熱とは血中のCa濃度が排出量が動員量(摂取量)を超えてしまい、低Ca濃度となり起立困難などの症状を引き起こす疾患です。

初産の牛では泌乳量(排出量)がそれほど多くないので、低Ca状態になることはほぼありません。

基本的に分娩前後の起立困難で乳熱を疑う場合、泌乳量(排出量)が多い3産目以降の牛になります。

2産目でもまれに起こる牛もいますが、あまりいないです。

このように診断する上で、診察している牛が何産目かというのは非常に重要な情報なので、必ず農家の人に聞いています。

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獣医師が必ず聞くことその③:治療牛をどのように考えているか

診察を行い、診断し、次に治療することとなります。

単純な乳熱であれば、カルシウムを打てば生産に戻ることができ、その後の生産性に大きく関わることはないと思います。

一方、中にはこの牛を治療しても生産に復帰できる見込みはほとんどないという症例もいます。

そういった場合には、廃用といった選択肢も産業動物の場合にはあります。

最終的には農家が判断しますが、現状を説明した上で、それを承知の上で治療してほしいと言われた場合には治療しますし、治療しないという選択をされることもあります。

他にも獣医学的に見れば、抗生剤を使って治療すべきという状態の牛でも、乳が出るから出荷したいという農家もいます。

このように農家がその牛をどのように考えているかによって治療の方針は大きく異なります。

とことん治療するという農家、早いこと見切りをつける農家などいろいろな農家がいるので、それぞれの農家にあった方針を立てるためにさりげなく聞いています。

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NOSAIや病院の臨床実習で、往診随行する際には獣医師と農家の会話はよく聞こう!

臨床実習に参加するときには、「どんな農家さんなんだろう?」とか「今日随行させてもらう先生はどんな先生だろう?」など不安な気持ちもあると思います。

私自身、初めて臨床実習に参加した際には、先生について行くことで精一杯でした。

  • 繁殖検診のときには、何もわかんないけど牛のお尻はあったかいなぁ〜
  • 乳熱?それは牛が熱を出しちゃう病気なのかなぁ?
  • とりあえず元気よく挨拶だけちゃんとしとこう!

こんな風に思っていました。(笑)

もう先生の後を追いかけて行った後には、会話が終わっていて、先生は聴診中で会話を聞き逃した、なんてことも度々ありました。(笑)

実習中には診断をしてみようかなどと言われたりもしますが、私の場合はそれどころじゃありませんでした…。

もし学生時代の私のように何もわからなくても、まずはしっかりこの3つだけでも確認するようにしましょう!

あとはよくわからなくても、楽しく明るく会話しとけばなんとかなります!笑

実習に行かれる際の参考になれば幸いです。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

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当ブログを運営・管理している”とんち”です。 現在、北海道で産業動物臨床獣医師として働きながら、ブログを書いています。 詳しくは、『【プロフィール】なぜ産業動物獣医師である私がブログを書いているのか?』をご覧ください。
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