「【2024年】第76回獣医師国家試験の概要とその勉強法ついて考えてみた Vol.1」という記事では、日程や合格基準など獣医師国家試験の基本的な事項について説明しました。
そして「【2024年】第76回獣医師国家試験の概要とその勉強法ついて考えてみた Vol.2」という記事では獣医師国家試験の出題傾向、そして国試勉強の開始時期や使用する教材について説明しました。
まだ読まれていない方は必ず先に呼んでくださいね。
そして今回はみなさんが最も気になるであろう、「勉強の進め方」について最後にお伝えしたいと思います。
この記事を読むことで
- どのように勉強をすれば合格できるのか?
- 実際の国試勉強はどのような感じなのか?
ということがわかるので、必ず最後までお読みください。
私は第71回獣医師国家試験に合格し、現在は産業動物獣医師として働いています。
詳しくは、『【プロフィール】なぜ産業動物獣医師の私がブログを書いているのか?』をお読みください。
獣医師国家試験の受かるための3大原則
ここに書いたことは、まずこれだけ守れば大きく踏み外すことのない、受験生全員が共通してやるべきことです。
この3つを守れば、そうそう落ちません!
①1周で完璧を目指すのではなく、何周もやること
6年間勉強してきた内容というのは、とてつもなく膨大で覚え続けるのは困難です。
1度勉強して覚えたことも1ヶ月。
はたまた1週間もしないうちに記憶の彼方へ消えてしまいます。
私もそうでしたし、それが普通です。
それならば忘れれば反復して、何度も覚えれば良いのです。
1周目では目に止まらなかった新しい情報を見つけたり、他の分野と関連して覚えることができるので、こう言った面でも何周も繰り返し勉強するのが効率的です。
・1周で完璧にしようと時間をかけるのではなく、完璧でなくていいから何周もやろう!
②みんなが知っている知識は必ず覚えること
国試はみんなが取れる問題を落とさなければ、必ず合格することのできる試験です。
みんなが知っている知識=国家試験によく出る問題に関する知識ということになります。
だからこそ、過去問をベースでやることが大切です。
それでも一人で勉強していると覚える知識というのは少なからず偏ります。
そして、その偏りを修正するのが勉強会です。
勉強会という名前で呼ばれますが、最大の目的は勉強することではなく、周りと情報を共有することです。
・みんなが取れる問題は確実に、周りができない問題はできなくて大丈夫!
・勉強会は覚えておくべき知識をすり合わせる情報交換の場である!
③とにかく過去問を何度も何度もやること
これは何度も何度も言っていますが、過去問をベースに勉強して下さい。
まとめや参考書をベースに勉強すればするほど、雲行きが怪しくなります。
迷ったら過去問、不安になったら過去問、必ず過去問をベースにして下さい。
国試には必須問題、学説問題、画像問題の3つがありますが、最も大切なのは学説問題です。
学説問題はA問題、B問題で160問出題されますからウエイトが大きく、1日目の学説試験が不出来な場合、2日目の画像問題で取り返すことは非常に困難です。
また血液検査や画像診断の結果から答える画像問題ですが、文章で答えが出せる、もしくは選択肢が絞れるという問題が非常に多いので、画像問題ですが文章が非常に大切なんです。
あと画像問題は知識が付いてくるといろんな視点で解くことができ、考えるのが楽しいのでやり過ぎには注意しましょう。
1周目の勉強では学説問題だけを解き、2周目以降に画像問題を解いていくのも一つの手です。
・とにかく過去問を繰り返すことが、超効率的で合格まで最短最速!
・まずは画像問題より学説問題をより重視して勉強すること!
これからどの科目から勉強を始めていくか
結論から書くと、どの科目から始めても大丈夫ですが、基礎系科目から始めると理解しやすいのでオススメです。
受かる人と落ちる人の差は?合否に大きく関わる科目とは
受かる人と落ちる人で最も差ができやすい教科は、基礎系科目と公衆衛生学です。
基礎系科目、公衆衛生学に共通して言えることは特に出題範囲が広く、覚えている知識が偏ってしまうという点です。
先ほど述べた、「みんなが知っている知識」の取りこぼしが生じやすい科目です。
そして近年、世界的にも公衆衛生が重要視されており、獣医師も重要な役割を担うため公衆衛生学の出題数は増加傾向にあります。
獣医師は、飼育動物に関する診療及び保健衛生の指導その他の獣医事をつかさどることによつて、動物に関する保健衛生の向上及び畜産業の発達を図り、あわせて公衆衛生の向上に寄与するものとする。
獣医師法 第一条 獣医師の義務より引用
今後も出題数は増え、細かい知識まで問われるようになると考えられるので、抜かりなく対策することをおすすめします。
王道のやり方は?
3つの理である「病理学」「生理学」「薬理学」は獣医学を学ぶ上で重要な科目なので、先にやれば他の科目が理解しやすいと一般的には言われます。
中でも、生理学から始めるという人は非常に多いです。
実際に私も生理学から勉強し始めました。
また密接に関わる科目も多いので、その場合はより土台となる科目を先にやる方が理解しやすいです。
例えば、「生理•生化」→「薬理学」→「毒性学」の順にやった方が理解しやすいという具合です。
一方、「魚病学」などは他との関連性は薄いので、先に勉強するメリットは低いです。(※魚病学は毎年7題出題されているので決して疎かにしない方が良いです)
・合否を分けるのは、基礎系科目と公衆衛生学である!
・他の科目の土台となる科目からやるのが王道である!
「【2024年】第76回獣医師国家試験の勉強法について考えてみた【科目別】」では、科目別勉強法について書いていますのでお読みください。
過去問は年度別でやるべき?科目別でやるべき?
これも人によって分かれると思います。
私の所属していた勉強会では勉強し始めた時は、年度別でやっていましたが、あまりうまいこと行かずに科目別で勉強することになりました。
もう一度国家試験勉強をしろと言われたら、私は迷わず科目別で過去問を解くようにすると思います。
実際に私はこんな感じでした(体験談)
まず私の場合は、11月1日から勉強を開始しました。
勉強をする前に過去問を解いたときは、必須問題は6割程度、学説問題は3〜4割の得点率でした。
私自身、大学生活では講義は最低限出席し、定期試験は直前に過去問をやり、なんとかパスしているような状態でした。
勉強開始前に目標とスケジュールを決める
私がまず初めに行ったことは、以下の2つの目標を設定しました。
- 12月末までに学説試験で7割を超えること
- 1月末までに覚える範囲を決定し、直前期に暗記することまとめる
この2つができれば、確実に合格できると考えました。
そしてこれを達成するためのスケジュールを以下のように設定しました。
- 11月から12月末でまでに全ての科目をまずは1周勉強する
- 1月末までにもう一度全ての科目を再度復習する
- 2月からはひたすら暗記と知識の確認をさらさらっと2周行う
つまり私の場合は合計で全範囲を4周行いました。
11月〜12月末まで
11月から12月末にかけては60%くらいの出来で良いのでとにかく1周終わらせました。
1周目にやったことは国家試験対策で覚えるべき知識をざっくりで良いので把握し、ある程度勉強範囲を定めることです。
1周目はわからないことばかりでペースもかなり遅く、一番大変でした。
1月末まで
1月末までに2周目を終わらせるわけですが、2度目なので、1周目よりかなり余裕を持ち、広い視野持って、尚且つ、早く勉強を進めることを実感しました。
2周目にやったことは覚えるべき知識を確定し、直前期に暗記で詰め込む資料をまとめることでした。
2月〜当日まで
2月に入ると、新たな知識は入れることなく、とにかくこれまでやってきたことの復習と知識の詰め込みに全力を注ぎました。
2月から当日までにやったことは、学力を最大限ピーキングすることのみで、新しい知識を頭に詰めることはせずこれまで勉強してきたことの復習のみでした。
このように目標とスケジュールについて書きましたが、最初からここまで明確に立てていたわけでなく、勉強していくうちにより明確に立てられるようになりました。
得点率の推移について
先ほども記載したように無勉強で過去問を解いたときは、必須問題は6割程度、学説問題は3〜4割の得点率でした。
1月の頭にあった模試までは年度ごとに過去問を解くことがなかったので、それまでの得点率はわからないです。
1月の頭の模試では、必須試験が9割、学説•実地試験で7割5分の得点率まで上昇していました。
その後、過去問を年度ごとにも解きましたが、科目別で何度も解いているので平均すると5問程度、多くても10問間違えるくらいでした。
そして本番では必須試験が9割、学説•実地試験で8割の得点率で合格できました。
勉強した科目順について
私が最初に手をつけた科目は生理学でした。
その後、関連性の高い、生化学、薬理学、毒性学の順に勉強しました。
他の科目と関連性の高い基礎科目を中心に、細菌学、ウイルス学、伝染病学など順次勉強しました。
過去問上、他の科目と関連性の高くない解剖学、寄生虫学、魚病学などは後回しになりました。
基礎科目が一通り終わると、次に臨床系科目の小動物と大動物を勉強しました。
内科・外科で分けるのではなく、小動物の消化器、泌尿器などの分類で勉強したので、その中で内科的治療は〇〇、外科的治療は〇〇といった形で学習を進めました。
そして最後に高次科目の公衆衛生学や臨床繁殖学などを勉強していきました。
一応参考までに書きましたが、特にこれが絶対正解というやり方はないので、最も勉強を進めやすい順番でやってみてくださいね。
勉強のやり方について
まず過去問は科目ごとに勉強しました。
基本的には下記の繰り返しで勉強しました。
- 過去問をまず最初に解き、採点し、解説を読む
- 過去問で問われていた内容を北大まとめや教科書で読む
- 過去問の選択肢を正しい文章に直しながら、もう一度過去問を解く
勉強を始めた頃は、最初に北大まとめから勉強することもありましたが、聞かれていることと覚えたことにズレがあり、非効率だと思い辞めました。
基本的に上記に書いた勉強手順で問題なく、一番効率的だと思います。
勉強会について
勉強会も11月からグループを組んで取り組みました。
週に1回開いて、科目別に勉強日程を組んで進めていきました。
先ほども書いた通り、私の場合は勉強会を情報交換の場と捉えていたので、周りの人と勉強してるところとズレていないかを確認していました。
新年が明けてからはほとんど集まって勉強するということはなくなり、わからないところがあればLINEで聞くという形になりました。
私は1つの勉強会にしか参加していませんでした。
2つの勉強会に掛け持ちしていた人もいましたが、私は1つで良いと思います。
また勉強会への参加は必須ではないと思います。過去問をベースにしっかりと勉強できていれば、勉強面では不必要だと思います。
しかし、一人で勉強していると不安になったり、追い込みすぎたりする人はみんなとコミュニケーションを取り、リフレッシュとして使うと良いと思いますよ。
心境の変化について
11月〜12月末まで
勉強を開始した11月が最も集中して勉強に取り組み、最もしんどくてつらい時期でした。
毎日過去問を解いても全くわからない言葉が羅列されており、ほとんどの問題で間違えるのですから当然ですよね。
そうしてなんとか進めて1周目が終わる頃にはだいぶ希望が見えてきて、謎の自信がついてきました。
1月末まで
模試で下振れしても安全圏の得点を取れたので、ついつい怠けてしまいました。
そして年末年始はクリスマスや正月もあったため、1月はダレてしまい勉強に全く身が入らず、あっという間にすぎてしまい、今度は1月末に謎の不安に襲われ、もう1度気を引き締めて勉強を開始しました。
2月〜 直前期
2月に入ると、勉強より体調管理の方に気を配り、無理なことはしませんでした。
何度やっても覚えられないものも多いですが、もう直前期なので覚えられないやつはどうせ出ないなどと自分の都合の良いように捉えていました。(笑)
そして画像問題もどうせ1日目でほとんど合否決まるんだから、そんなにやる必要なんてないとも思っていました。
不安と早く終わって欲しいという気持ちが入り交じり、なんとも言えない心境でした。
国試前日〜終了まで
試験前日は友人と同部屋で基本喋っていたためか特別緊張することもなく、勉強もほとんどせずに快眠できました。
1日目が終わった時点で勉強会のメンバーで答え合わせをしましたが、必須試験が9割、学説試験で8割以上取れていました。
合格したも同然でその後全く勉強せず、国家試験は無事終えることができました。
最後に
これまで獣医師国家試験の概要から勉強法について書いてきましたが、国家試験の全体像が伝われば良いなと思います。
これから獣医師国家試験の勉強を始める6年生の方の参考になれば嬉しいです。
皆さんが合格されることを祈っております。
辛い時もありますが、頑張ってくださいね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
『獣医師国家試験に”落ちる人”の特徴とは?落ちないために注意すること!』では、国試に落ちてしまう人の特徴を書いていますので、反面教師にして乗り越えましょう。
まだ「【2024年】第76回獣医師国家試験の概要とその勉強法ついて考えてみた Vol.1」を読んでいない方は読んでくださいね。
「【2024年】第76回獣医師国家試験の勉強法について考えてみた【科目別】」では、科目別勉強法について書いていますのでお読みください。
この他にも、『【新卒/1年目】北海道の産業動物獣医師の初任給を公開します【給料明細】』では、卒業後に初めていただいたお給料についてお話ししています。